雨女、最強の晴れオンナにエスコートされ浅草寺をゆく~当たるも八卦当たらぬも八卦!?~雨女、最強の晴れオンナにエスコートされ浅草寺をゆく当たるもハッケ当たらぬもハッケ!?
10月の代表的な和名「神無月(かんなづき)」の由来は、日本じゅうの神々が縁結びの相談をするため島根県の出雲大社(いずもおおやしろ)に集まり、各地の神様がいなくなる月という意味からきています。
対照的に、神様が集まる出雲地方では10月は「神在月(かみありづき)」と呼ばれているのですよ。
山陰地方(さんいんちほう)には良い温泉や美味しい地酒があり、今頃、神様たちも縁結び会議の合間に、温泉と海の幸(うみのさち)を肴にお酒を楽しまれているかもしれませんね。
そんな10月のある日、車いすユーザーのわたしは初めて日本有数の観光スポットである「浅草寺(せんそうじ)」にお邪魔してきました。
今回はその体験を踏まえ、車いすやベビーカーであっても、より浅草寺を楽しむヒントをお届けできたら嬉しいなと思います。
わたし雨女です…
車いすユーザーが外出する際、気にすることの一つはお天気です。そういうと「それは、車いすに限ったことではないよ、誰だって雨に濡れたくない」と返されるかもしれませんね。
そう、濡れたくないのです、人間も電動車いすの「バッテリー」も!!
わたしのように電動車いすを使用している場合、濡れてしまうとバッテリーが故障するリスクが高く、何日も前から当日の降水確率チェックは欠かせません。まさに、天気一つに一喜一憂をしているのです。
そんな晴れをこよなく愛するわたしですが、実は笑えるほどの「雨女」なのです。
ある時は、目的地までかなりの威力の雨雲を連れてドライブし、一緒にいた友人に「さすが雨女だね」と苦笑いされ、私の雨女っぷりを知っている登山が好きな友人には「山登りをする日には同じ方向に出かけないでね」と冗談交じりにからかわれたこともあります。いや、もしかしたら本気だったのかも!?
だから今回の浅草寺散策も天気を心配していたのですが、今回のエスコート役のエリーさんは浅草に詳しいうえ、台風にも打ち勝ったという輝かしい過去を持つ最強の「晴れオンナ」。
彼女のおかげで数時間前までふっていた雨が嘘のようにやみました。
その瞬間私は、勝負の日はてるてる坊主ではなくエリーさんにお願いしようと心に誓ったのです…。
雨女、最強の晴れオンナにエスコートされ浅草寺をゆく
ここで、ちょっとした豆知識。
浅草寺のご本尊である観音像は、推古天皇時代に漁師の兄弟が隅田川(すみだがわ)から引き揚げたそうです。
観音像は兄弟の手によって草ぶきの堂にまつられていましたが、のちに地元の名士により寺が建てられ、そこにまつられるようになりました。それが浅草寺の起源と言われています。
そんな浅草寺とその周辺をエリーさんのガイドのもと、昼と夜の両方で散策してみました。いわゆる二度おいしいってやつです。
「この風景はテレビで見たことある!」など、生まれも育ちも地方のわたしには、目に映る景色のすべてが新鮮でキョロキョロとしてしまいました。
表参道(おもてさんどう)横には様々なお店もあり、おもちゃ箱をひっくり返したような和の華やかさがありました。
あくまでもわたし個人の感想ですが、昼と夜、浅草寺周辺と境内の混雑を比較してみると、昼間は参拝者が大変多く、すれ違うのもひと苦労な印象。さすがは日本有数の観光地だと思いました。
実際にベビーカーを押している人もいたので通れなくはありません。
けれど、ゆっくりと気兼ねなく雰囲気も楽しむなら人の少ない夜か早朝がおすすめかもしれませんね。
わたしたちが夜の参拝をしたのは21時ごろ。仲見世の店舗は閉店していましたが、昼よりも道が広く感じてゆったりとした時間が流れていましたよ。
車いすユーザーの外出先での心配事3点セット!?天気と段差とトイレ問題
車いすユーザーが外出先で心配事の一例が、冒頭でもお伝えした天気、段差と、トイレではないでしょうか。
天気は神のみぞ知るですが、段差とトイレは多くのかたに車いすユーザーの現状を知っていただけるとうれしいなと。
いつでも、晴天のような晴れやかな気持ちで外出を楽しみたいですね!
神社仏閣につきものの段差が気になる
車いすユーザーのわたしが今回の参拝で気になっていたことの一つが、境内内の段差でした。
以前の記事でも書きましたが、車いすは道に転がっている小石一つにもタイヤがとられてしまいます。
たとえ、1センチ程度の段差でもぶつかるとかなりの衝撃をうけます。
神社仏閣は、行きたい気持ちはあるものの砂利や段差、階段といったものが多く、断念することがあります。
やむにやまれぬ場合は、代理で付き添いの人のみ階段を上がり、お賽銭(おさいせん)を収めたのち鈴が鳴らされたのを合図に、わたしが階段下で参拝するという方法をとったこともあります。
神様には大変失礼かと思ったのですが、家族の安寧等をどうしても祈願したいという理由からその方法をとりました。
浅草寺境内は全体的に段差のない石畳になっているので、車いすやベビーカーも走行しやすいのではないかと思います。
また、本堂前には十数段の大きな階段がありますが、むかって左側に「優先エレベーター」もあり、階段に不安がある人でも参拝しやすくなっていました。段差解消に取り組んでくださっているのですね。
ただ、使用可能な時間が限られており、朝から18時ごろまでのようですので、お気を付けください。
また、エレベーター内は程よい広さですが、介助のかたなしで使用される場合は、他の施設のエレベーター同様、安全には気をつけて使用されますように…。
このお心遣いにほっこりです
浅草寺を前に右にすすんでみると、「浅草神社(あさくさじんじゃ)」という神社が静かにたたずんでいました。
お寺は「仏教」で神社は「神道(しんとう)」の宗教施設なので、浅草寺と浅草神社は別の施設になります。
しかし、ここにまつられているのは、先ほど浅草寺の豆知識でご紹介した観音像を見つけた漁師の兄弟と寺を建立した地元の名士なので、深い繋がりがあります。
話を元に戻しましょう。
この浅草神社には2段の階段がありましたが、その横に、なんとスロープがありました!!
きっと、参拝しやすいようにとの要望にこたえてくださったのでしょう。その温かなお心遣いに、本当にうれしくなりました。
ちなみにおみくじエリアも同じ敷地内の段差のないところにあり、一部ではキャッシュレスで引けるものもありました。おみくじにもキャッシュレスの波が…!
お財布を出したり小銭を用意したりせずに済むのもうれしいですね。自分に合った参拝スタイルを選択しましょう。
また、おまもりの中には、毎月デザインが変わる「巫水引守(かんなぎみずひきまもり)」と呼ばれ、水引でブレスレットに仕立てたおまもりもあります。
10月はかわいらしい淡いピンクの秋桜(コスモス)でしたよ。数量に限りがあるので、購入したい人は月初めに行くのをおすすめします。
この水引のおまもりは、自分へ買うのももちろん良いでしょうし、大切な人への贈り物にも喜ばれるのではないでしょうか。
車いすユーザがかかえる永遠の「あの問題」も気になる
車いすユーザーが外出において、必ず心配するのがトイレです。
浅草寺には、北側と南側に多目的トイレがありました。どちらにも車いす用手すり、おむつ替えシート、ベビーチェアが備えられています。
ただし、オストメイト設備はありません。また、利用可能時間は6時から22時までとなっています。
浅草寺北側の多目的トイレ
浅草寺南側の多目的トイレ
また、個室は半円形状になっており、人によっては若干狭く感じるかもしれません。
わたし個人の感想を述べさせてもらいましたが、そもそも多目的トイレが複数あること自体が、本当にありがたいことです。
参拝する側への配慮が感じられました。
もし一点だけお伝えさせていただくとすれば、わたしのように手すりや支えてくれる人がいても自立することが叶わない車いすユーザーも意外とたくさんいます。
そのような場合は多目的トイレに大人の車いすユーザーでも使えるベットや、車いすをリクライニングにした場合にも十分な広さが確保できれば、今まで以上に多くの車いすユーザーにとって使いやすいトイレになるような気がしています。
最強の晴れオンナは、最凶運の持ち主!?
やっぱり、最後はおみくじでしょう!!ということで、ある方法でおみくじを引くことにしました。
浅草寺のおみくじは凶が出やすいのをご存知でしょうか?
一説によると凶の確率は30パーセントとも言われていますが、なんとエリーさんは、今年すでに3回ここでおみくじを引いて、3回とも凶を引き当てたそうです。
そもそも、「引き当てた」の表現で合っているのかな?
その話を聞いたわたしは笑いのセンスがポンコツなので、気の利いた返しも一切出来ず、なんかごめんなさいでした。
今回は、銀色の六角柱(ろっかくちゅう)のおみくじ筒をエリーさんが振り、わたしが「ストップ!」ととめるという共同作業でやってみることにしました。
それでは、いざ!!!
ジャカジャカ、ジャカジャカ、ジャカジャカ
ストップ!
おみくじ棒が出てきたので、該当する引き出しからおみくじを取り出してみると…
あれ?大吉!?ここは絶対に凶でしょう、エリーさん!!!
今度こそ、気の利いた慰めをしようと思っていたわたしは、思わず「なんでやねん!」のツッコミを入れてしまいました。
エリーさん、大変失礼いたしました。
けれど、いつものんびりしていてツッコまれることはあってもツッコむことなどない私のツッコミは、とても貴重なのでお許しくださいませ。
ちなみに、この大吉のおみくじをエリーさんは「戦利品(せんりひん)」と呼んでいて、なぜだか彼女をだきしめたくなったわたしでした。
話がそれてしまいましたが、おみくじとは元来良いことも悪いことも書かれており、もしも凶が出たとしても、これからの運気は上昇あるのみということではないでしょうか。当たるも八卦当たらぬも八卦ですね。
書かれている「教えごと」を心にとめ、あとは自分次第。未来はいかようにも変わってゆきます。
よき一日(いちにち)をありがとうございました
初めての浅草寺散策は、優しさと笑いがあふれ本当に楽しいものでした。エリーさんありがとうございました!!
つい、ままならない日々だと感じてしまうこともありますが、今回のように優しいお心遣いがうかがえる場面があると、心はおひさまを浴びたようにほんわか温かくなります。さあ、明日という未来はどんな一日(いちにち)になるのでしょう?楽しみですね!
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