苦境にあえぐ飲食業界 上半期の倒産件数は過去最多に苦境にあえぐ飲食業界 上半期の倒産件数は過去最多に
飲食業界が苦境にあえいでいます。
コロナ禍(か)の収束に加え、旺盛なインバウンド需要で繁華街には客足が戻り、飲食業の集客や売上は回復傾向にあります。
しかし、歴史的な円安や資源高による食材やエネルギー価格が上昇している状況が続いています。
さらに、人件費の高騰なども追い打ちをかけており、飲食店の収益を圧迫しています。
信用情報サービスを提供する東京商工リサーチがこのほどまとめた2024年上半期(1月から6月)の飲食業の倒産動向によると、倒産件数は前年同期比16.2%増の493件と、2年連続で過去最多を更新しました。
東京商工リサーチによると、「現在のペースが続けば、年間(ねんかん)ベースでは初となる1000件を超える可能性もある」と分析しています。
「バー・キャバレー」や「すし店(てん)」が不振
とりわけ倒産件数の増加が目立っているのは「バー・キャバレー・ナイトクラブ」と「すし店(てん)」です。
倒産件数は「バー・キャバレー・ナイトクラブ」が前年同期比2.6倍の47件、「すし店(てん)」が前年同期比2.6倍の18件と、それぞれ2倍以上に増加しました。
「新型コロナウイルス」関連の倒産件数は前年同期比15.2%減の244件と大幅に減少しました。
一方、食材やエネルギー価格の上昇などによる物価高(だか)関連の倒産は45.4%増の32件、人手不足に関連する倒産は前年同期比33.3%増の28件と、それぞれ集計開始以来の最多を更新しました。
進まぬ価格転嫁
押し寄せる物価高騰の波への対抗策として、飲食店はメニューや商品の値上げに踏み切る必要があります。
しかし、価格転嫁が思うように進んでいないのが実情のようです。
東京都内でラーメン店を営む男性は「値上げに踏み切れば、たちまち客足が遠のく」と嘆いており、価格を据え置いたままで営業しているという。
足元でも円安や物価の高騰に収束の兆しは一向に見えておらず、飲食店を取り巻く環境は暗雲が垂れ込めています。
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