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契約、画像認証…あれってどうやっているの?「ブラインドライターズ」の視覚障害当事者に聞いてみた

机のうえに置かれたけいやくしょの用紙と印鑑、ペンの写真

2024年4月に障害者差別解消法が改正され、民間企業にも合理的配慮が義務化されました。障害者のインクルージョンが進んでいますが、しかし正直なところ「どう対応したらいいのかわからない」、「障害当事者にどうやって意見を聞けばいいのだろう?」と悩む声も。
合同会社ブラインドライターズでは、障害者対応に対する悩みごとがある飲食店、中小企業・スタートアップなどに向けて、障害当事者にオンライン相談ができるサービスをスタート。今回は実際にどんなことが聞けるのか、インタビューしました。

 

「ブラインドライターズ」って?

音声の「文字起こし」や、WEBサイトのアクセシビリティ監修、サロンのバリアフリー化のコンサルティングなどをおこなっている企業。スタッフは40人の視覚障害者を中心に、下肢障害や過敏症など何らかの障害のある当事者が多く在籍しています。

 

実際に聞いてみたら…宝の山だった

今回お話を伺ったのは、弱視、全盲を含めた数人。「なんでもどうぞ!」とのことだったので、ふだんの生活のなかで気になることをいくつか聞いてみました。

 

契約ってどうしてる?

「契約」と聞くとやや重たいイメージがありますが、ジムへ入会するときや、銀行口座の開設、スマホの買い替えなど、日常生活のなかで書類にサインすることや印鑑を押す機会は意外と多いもの。

視覚に障害のある人たちはこれらをどのようにおこなっているのでしょうか。

松田さん(弱視):わたしは4年前に家(いえ)を買いました。わたしたち夫婦はどちらも視覚障害で 文字の読み書きができないため、契約や書類の作成にもサポートが必要でした。
たまたま不動産屋のかたが司法書士だったこともあり、夫婦それぞれの見えかたを説明し、代筆してもらったり、ローンの契約のときも同席してもらえました。
本人の直筆でないとならない書類はサポートいただきながら記入し、代理で進められるものがある時も私たちの目の前で代筆をしてもらいました。印鑑はすべて司法書士に同席してもらうかたちで、見守られながら代理で印鑑を押してもらいました。

わたしたちは幸運なほうでしたが、通常は役所の専門職の人に有料で代筆や代行をしてもらうケースが多いそうです。そのほかにも、ローンを組む際に障害者手帳以外に規定の証明が必要で、あちこちいかねばならず大変でしたね。

まつだまさみさんのイラスト
松田昌美(まつだまさみ)さん

 

本人確認書類や顔写真のスキャンが難しい

藤井さん(弱視):契約書というかたちではありませんが、ネットで口座開設をしました。
ネットの場合は、そのサービスがアクセシビリティ対応していれば割とサクサクいけることも多いのですが、eKYC(イーケーワイシー:オンラインで本人確認をするための技術)でつまづくことがあります。

たとえば本人確認のための書類を撮影する際に「真上から写真をとってください」という指示。わたしは弱視ということもあり、スマホの画面拡大を使えば撮影できます。
しかしそのあとの、その書類が本物かを確かめるための「所定の角度から斜めにして撮ってください」という指示でつまづいてしまいました。見えにくいと所定の角度から撮るのが本当に難しくて。成功するまで何度もチャレンジしてようやく撮影できました。

同様に「顔を撮影してください」という指示も難しいですね。QRコードなどは若干ぶれてしまっていても読み込んでくれるので問題なく行えることも多いのですが、所定の位置にきっちりはめて撮影する、というのが難しくて。ネットで完結する場合は店舗に行かなくても済むメリットはありますが、こういった部分は改善していただけると嬉しいですね。

ふじいひろきさんのイラスト
藤井弘毅(ふじいひろき)さん

 

松田さん:わたしもNISA(ニーサ)口座開設の際に、画面の所定の位置に目や鼻がくるように写真を撮らなければならず、どうしても合わなくて3週間かかった覚えがあります。

 

「私はロボットではありません」系は、できるものとできないものがある

小林さん (弱視) :ウェブのログインなどで最近よく見る認証、みなさんもやったことがあると思います。bot(ボット)などによる悪質なアクセスからウェブサイトを守るための機能で、「reCAPTCHA(リキャプチャ)」と呼ばれるもの。「私はロボットではありません」にチェックを入れるものなど、種類がいくつかありますが、わたしの場合はできるものとできないものがあります。

文字タイプの認証は画面を思いっきり拡大して、見やすい文字が出てくるまでがんばればできることが多いです。

パズル認証タイプは、特定の場所にあるピースを所定の位置に動かすというものなので、成功した試しがありません。同様に複数の画像のなかから「信号機をすべて選択してください」のような、視覚に依存するタイプの認証も難しいです。

 

スマートフォンのイラスト。画面には12枚の正方形の天気のイラストと、太陽の画像をすべて選択してくださいとかかれたテキストが表示されています
見えていてもわかりにくいとき、ありますよね

 

一方で、SNSのX(旧Twitter)でプロフィールを変更した際は音声でも認証ができ、こちらはとても簡単でした。

こばやしなおみさんのイラスト
小林直美(こばやしなおみ)さん

 

駒田さん(全盲):わたしは全盲で音声認証はとても助かりますが、一部のサービスは音声に変えるとすべて英語になることがあります。そういう場合は聞き取れる単語が出てくるまでひたすら聞き続けてチャレンジしています。
時間制限がないものならどうにかできるのですが、制限があるものだとできないこともありますね。

こまだやすひこさんのイラスト
駒田泰彦(こまだやすひこ)さん

 

当事者が複数いたので、共感することもあれば異なる意見がでてくることも。同じ視覚障害といえど、見えかたや見えにくさは人それぞれ異なることがインタビューからもよく伝わりました。

「契約って…」という話からはじまり、次々に出てくるお話はどれも身近なものばかり。まさに宝の山でした。メーカーやサービスの担当の人に聞いてもらいたい…と思うお話でした。

 

今なら20社限定で30分無料相談ができる

現在、同社では無料で30分オンライン相談ができるサービスを限定20社に提供しているそう。ブラインドライターズ、太っ腹です。上限に達ししだい終了とのことなのでお早めに。申し込みは以下フォームから。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfps_

 

合同会社ブラインドライターズのホームページURLは以下から

https://blindwriters.co.jp/

 

本文ここまで

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