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網膜投影で「みえる!」という感動を。QDレーザインタビュー

2023年のシーサンのブースで、網膜投影カメラキットを手にしている写真

アメリカでおこなわれた世界最大級のアクセシビリティ関連のイベントCSUN(シーサン)で、今年もブース出展していたQDレーザ。
2023年にSONYと共同で発表した「網膜投影カメラキットDSC-HX99 RNV kit」(以下、「網膜投影カメラキット」)でも注目をあつめている企業です。「ロービジョンでも使いやすいカメラ」というユニークな特徴を持つこの商品は、QDレーザの網膜投影の技術をSONYのコンパクトデジタルカメラと合わせたもの。

網膜投影カメラキットの商品写真。コンパクトデジタルカメラがひとまわりおおきくなり、レンズをのぞく部分が通常のカメラよりも少し大きくなってのぞきやすくなっています
「網膜投影カメラキットDSC-HX99 RNV kit」

 

ロービジョンといっても見えにくさや見えかたは個人差が大きいことから実際に実物を体験したのちに購入できるかたちをとりつつも、発売を開始してから一年以上、問い合わせが絶えない人気商品です。

今回はこの商品について、QDレーザの宮内洋宜(みやうちひろのり)さん、金井勇樹(かないゆうき)さん、中村学(なかむらまなぶ)さんにお話を伺いました。

 

シーサンでのQDレーザのブースの写真。このあと紹介する網膜投影カメラキットやレティッサの実物展示をおこなっていました
2024年3月に開催されたCSUN(シーサン)のQDレーザのブース

 

ロービジョンって?

ここ数年、ドラマなどでも話題になり耳にする機会の増えた「ロービジョン」。
ロービジョンとは、メガネやコンタクトレンズを装着しても見えにくさやまぶしさ、みえる範囲が狭いといった視覚の障害により、日常生活での不自由さがある状態のことを指します。

ロービジョンは日本国内だけでも145万人、世界では2.5億人いると推定されています。

 

網膜投影カメラキットのベースになっている「RETISSA(レティッサ)」

かつて実現が不可能と言われていた光通信用量子ドットレーザの量産化に、世界で唯一成功したという同社。同社のレーザ技術を用いて情報処理能力の飛躍的向上を実現し、視覚障害者の支援や眼の疾患の予防などを目指した商品を展開しています。
網膜投影カメラキットのベースになっているのは、同社が販売している「RETISSA(レティッサ)」という網膜投影型の視覚支援機器です。

なかでも机の上に置いたり片手で持って使うことができる「RETISSA ON HAND(レティッサオンハンド)」は、本体重量が約500グラムとコンパクトな手持ち型の視覚支援デバイス。
手にもって目に当てるだけで、ロービジョンでもカメラで撮る映像をリアルタイムで網膜に投影して見ることが可能です。

レティッサオンハンドの商品写真。顕微鏡のようなフォルムです。片方の手で本体をもち、片目でレンズを覗いて使用するデバイスです。本体横によっつのボタンがついていて、グレースケール反転や明暗の調整、スクリーンショットをとることもできます
「RETISSA ON HAND(レティッサオンハンド)」

 

「網膜投影」ってどういう原理?

ところで「網膜投影」とはどのようなものなのでしょうか。
同社の網膜投影は、人体に影響のない微弱なレーザを用いて近視や遠視、乱視でもピント調整によらずにつねにはっきりした映像を網膜に投影する技術。
光の三原色である赤、緑、青の半導体レーザを使って色を作り、そのレーザ光(レーザこう)は高速で動作する小さな鏡やレンズによって瞳孔の中心をとおって網膜上に導かれ、フルカラーの画像が投影されます。ブラウン管テレビと同じような方式で、網膜をスクリーンにした超小型プロジェクタのような仕組みです。

網膜投影がある場合とない場合をそれぞれ図で示したもの。網膜投影がない場合は、水晶体の厚さを調節して網膜上にけつぞうするのに対し、網膜投影ありの場合は微弱なレーザこうで網膜に直接投影しているため、フォーカスフリーとなっていることを示しています
網膜投影がある場合とない場合を示した図

 

さらに網膜投影技術を使うと、視野に異常がない場合と比較しても、図のように周辺視野が通常よりも明るくはっきりとみえるのが特徴。そのため、視野の中心部分が見えにくい中心視野障害がある場合でも残存する周辺部の視野を最大限に活かすことができるとのこと。

 

あかく色づいたもみじの風景写真をもとにし、視野障害がある場合とない場合、中心視野障害がある場合とない場合でのみえかたの違いを4枚の写真であらわした写真。中心視野障害のあるなしにかかわらず網膜投影がある場合のほうが、ない場合とくらべて周辺部が明るくはっきりとみえています。このことより、中心視野障害がある場合でも網膜投影があれば通常よりも周辺部が明るくはっきりみえ、周辺部の視野を最大限に活用できるということが写真からしめされています
見えかたには個人差がありますが、網膜投影があるほうが周辺部まで明るくはっきりみえます

 

「先ほどもお話したとおり、ロービジョンとひとことで言っても、見えかたは個人差によることが大きいもの。同じ病気の人でも、見えかたはその人によって大きく異なります。

その前提でのお話ではありますが、まず不正乱視や軽度から中度(ちゅうど)の混濁といった前眼部(ぜんがんぶ)を原因とする低視力のかたには相性のいい技術です。

また網膜に起因する低視力であっても、程度にもよりますが、黄斑変性(おうはんへんせい)、(糖尿病)網膜症、緑内障、レーベル病(レーベルびょう)、スターガルト病(スターガルトびょう)、アルビノといったかたから「よくみえる」という評価をいただいた例があります。
網膜投影の場合は網膜や視神経が一部でも機能している必要があり、スマートフォンが使える程度の視力があるかたには使いやすいかたが多い印象です。その一方で、明るさがわからない場合や、光覚(こうかく)、手動弁、指数弁といったかたは難しいことが多いですね」と宮内さん。

なお、以下のページでチェックリストが公開されています。購入を検討している場合は自分が当てはまるか確認してから体験会に向かうのがよさそうです。

 

「ご利用前のチェックリスト」URLは以下から
https://www.sony.jp/cyber-shot/rnv/DSC-HX99-RNV-kit/#trial-purchase

 

レーザについて

そしてもうひとつ気になるのが「レーザ」。
レーザと聞くと強い光のビームのようなものを想像してしまいますが…実際はどうなのでしょうか。
「RETISSA(レティッサ)や網膜投影カメラに使用しているレーザは、国際基準や国の法令で定められた、目に入れても害のない強さよりもさらに弱い、数百分(ぶん)の1から1000分(ぶん)の1程度の光です。例えるなら太陽光よりも弱い光で、日常生活で眼に入ってくる光の強さと変わりません。」と宮内さん。
試験機関による製品の試験や製造工程(こうてい)の確認をうけ、法令に適合していることを示すPSCマークを表示している安全なものとのこと。

 

レンタルもできる

「網膜投影カメラキット」は全国5店舗のソニーストアで体験してからの購入が推奨されている商品ですが、なんらかの理由で店舗や体験会に行けない場合でも気軽に試してもらえるよう、2023年の10月からは家電のサブスク・レンタルサービスの「レンティオ」で、同商品のレンタルサービスもはじまっています。
3泊4日で2980円からレンタル可能なので、購入を迷っているけれど使ってみたい人、お出かけの際に使いたい人などにはぴったりですね。レンタル後には電話で購入手続きを行うこともできます。

 

レンティオ「QDレーザ×ソニー DSC-HX99 RNV kit コンパクトデジタルカメラ」ページURLは以下から
https://www.rentio.jp/products/dsc-hx99-rnv-kit

 

たくさんの「みえた!」という感動を

同社では学校や図書館などの公共施設のほか、動物園や美術館、水族館、スポーツイベントなどでRETISSA(レティッサ)や網膜投影カメラを使って「みえる楽しさ」を提供するワークショップを開催しています。

 

網膜投影カメラを使ったイベントで鑑賞を楽しむ男の子の写真
網膜投影カメラを使ったイベントの様子

 

ロービジョンの当事者本人の「見えた!」という感動はもちろん、その周囲の人からも感動の声があがることもあるそう。「網膜投影技術を使うことによって、コミュニケーションの機会が増えることをさらに訴求していきたい」と金井(かない)さん。
網膜投影で、たくさんの人に明るい未来が届きますように。

 

「網膜投影カメラキットDSC-HX99 RNV kit」のURLは以下から
https://www.sony.jp/cyber-shot/rnv/DSC-HX99-RNV-kit/

 

QDレーザ「RETISSA ON HAND(レティッサ オンハンド)」のURLは以下から
https://retissa.biz/retissa-onhand

 

本文ここまで

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