日本科学未来館の常設展示が順次リニューアル「ノーベル Q」のアクセシビリティを強化日本科学未来館の常設展示が順次リニューアル「ノーベル Q」のアクセシビリティを強化
東京・江東区の日本科学みらいかん(以下、未来館)では2023年9月6日から、常設展示「ノーベル Q ―ノーベル賞受賞者たちからの問い」のアクセシビリティを向上させ、リニューアル公開がスタートしています。
今回のリニューアルは、2021年4月に掲げた Miraikanビジョン 2030「あなたとともに『未来』をつくるプラットフォーム」の実現に向けた取り組みの一つで、2023年11月の新常設展示リニューアルに先駆けて公開するものだそう。
より多くの来館者が楽しめるように
同展示は、28名のノーベル賞受賞者たちからの「来館者にいつまでも考え続けてもらいたい問い」をメッセージとして紹介したもの。
今回のリニューアルでは、パネル展示のほか、日本語、英語、中国語、日本手話の映像を加え、それぞれの言語を使用する人に体験しやすい展示にリニューアルしているほか、車椅子ユーザーや子どもからの見やすさを考慮して配置するなど、随所に工夫が施されています。
9月5日におこなわれたメディア向けの内覧会では、本展示で手話映像の監督、編集を務めた、ろうしゃの今井ミカしも登壇。今回の映像制作におけるポイントや、書記言語がない手話における映像の必要性、手話翻訳と出演者の分担の意義など、制作の背景について語りました。
当事者の意見を取り込み設計
従来の「ノーベルQ」の展示では、手話をだいいちげんごとするろうしゃにとっては日本語を読むことがハードルになっていたり、視覚障害者にとっては内容を知るためには同行している人のサポートが必要だったりと、アクセシビリティの課題があったそう。
そういった背景から、今回のリニューアルに際しては使用する言語、障害の有無、年代などに関係なく、だれもが体験しやすいよう、さまざまな人の意見を取り込んで設計をおこなったといいます。
日本手話の映像制作では、ろうしゃのクリエイターと企画の段階から協働し、情報を得やすい画面構成や演出、日本手話表現を追求。なお、日本手話は文法が異なっていたり、独自の文化を有するため、日本語とは異なる言語として扱われます。
手話映像の演者は全員がろうしゃで、俳優や日本手話講師をつとめるかたがおこなっているそう。
視覚に障害のある人や車椅子ユーザーには設計ワークショップに参加してもらい、配置などに関する意見を反映しているとのこと。
音声アナウンスや点字プレートも
壁にノーベル賞受賞者からの問いや、研究内容が記載された日本語の展示、さらにそれらを英語、中国語に翻訳したものをひとりずつ展示しています。
さらに視覚に障害のある人も楽しめる工夫として、壁の手前にある机にはそれぞれの問いを紹介した点字プレートや、QRコードを読み込むことでそれぞれの問いの音声がついた映像も視聴可能。
机の高さも、当事者の意見を反映した高さにしているなど、こまかい部分まで追求した展示になっています。
未来館では、今後も同リニューアルで得られた知見を活かして可能な限りアクセシビリティの高い展示制作をすすめていくそうです。2023年11月の新常設展示リニューアルも楽しみですね。
「ノーベル Q ―ノーベル賞受賞者たちからの問い」展示概要
展示エリア:3階 常設展示ゾーン「未来をつくる」
企画・制作:日本科学未来館
住所:〒135-0064 東京都江東区青海2丁目3番6号
開館時間:10時から17時(入館券の購入および受付は16時30分まで)
休館:火曜日(ただし、祝日や春夏冬休み期間などは開館の場合あり)、年末年始(12月28日から1月1日)
電話番号:03-3570-9151(開館しているひの10時から17時)
URL:https://www.miraikan.jst.go.jp/exhibitions/future/nobelq/
本文ここまで