DNP、文字の読み書き困難がある人に読みやすいフォントの有効性を確認DNP、文字の読み書き困難がある人に読みやすいフォントの有効性を確認
文字の読み書き困難がある人に読みやすい「じぶんフォント」の開発に取り組んでいるだいにっぽん印刷(DNP)は9月1日、「じぶんフォント」の有効性を確認したと発表しました。
書体の主観的な読みやすさと個人の読み書き特性の関係を明らかにする調査を実施したところ、読み書き困難の視覚的な症状がある人のうち、「じぶんフォント」が最も読みやすいと回答した人の割合は約49%と半数を占めたことがわかりました。
読み書き困難の症状がない人のうち、同様の回答をした人の割合である約37%と比べて約12ポイントも多くなりました。
2022年に開発
同社と東京工業大学などは2022年に発達性ディスレクシアをふくむ読み書き困難がある人にも見やすく・読みやすい「じぶんフォント」を開発しました。
ディスレクシアとは、知的能力に関係なく文字を読むことが困難な学習障がいのことです。日本ではがくれいき児童の約8%、英語圏では約10%から15%にこの症状があるとされています。
“読み書き困難”の症状は様々で、人によって症状が異なるとされています。「文字が躍る・動く・ねじれるように感じてしまい、どこにどの文字があるか分からない」や「文字や単語の間が広い場合には読めるが、字間が狭いと誤りが増える」といった症状があるようです。
「じぶんフォント」はかくせんがシンプルで、先端やかどが丸い「秀英丸ゴシック」をベースに開発しています。
「じぶんフォント」の平仮名は、形状や大きさを整え過ぎないようにしています。例えば「い」は平たく、「く」は縦に長くなど、手書きの形状に近いデザインで、文字間にゆとりがあるのが特徴となっています。
全体の25%が読みやすいと評価
調査では「じぶんフォント」3種、丸ゴシックたい1種、みんちょうたい1種、かくゴシックたい2種の計7種類の書体のうち、2書体の比較を全組み合わせで行い、主観的な読みやすさの順位を算出しました。
この結果、読み書き困難の視覚的な症状がある人には、丸みがあって抑揚が少ない(太さが一定の)書体、文字の底辺がどっしりしていて、重心が分かりやすい書体が読みやすい可能性があることがわかりました。
また、読み書き困難の有無にかかわらず全体の約25%の人が、調査で使った7書体の中で「じぶんフォント はっきりまるご」を最も読みやすい書体に選びました。約35%でトップとなった丸ゴシックたいに次ぐ、読みやすい書体となりました。
同社は今後の展開について、「今回の調査結果がより実生活に近い環境で文章を読む場面でも確認できるか、実証実験をおこなっていく」と話しています。
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