「原稿執筆カフェ」でみっちり追い込まれてきた「原稿執筆カフェ」でみっちり追い込まれてきた
東京・高円寺に主に週末、不定期で開催される「原稿執筆カフェ」をご存じでしょうか。
そのネーミングから想像できる通り、執筆活動に追い込まれた人たちが集うカフェ。ある意味で“選ばれしもの”しかいないカフェでもあります。
しかも今は年末。ただでさえ追い込まれた人しか集まらない場所に、年の瀬という、ふだん以上に切羽詰まった人たちが集います。
わたしも同志に会いたい
このカフェは予約制。当日でもOKな場合もあるものの、事前に予約フォームに入力して予約を取ったほうが確実です。
わたしは12月28日の土曜日に予約しました。多くの人たちは27日に仕事納めしているはずですが、この日はつまり、前日までに仕事が納まる気配すらない「かなり追い込まれた精鋭たち」が集まるはず。
わたしも同志に出会いたい一心で高円寺に向かいました。
締め切りに追われた人たちを描いた本があったな。あ、レッドブルも持っていこう。
でもこういうことをしているときに限って事件が起きるんですよね。
向かう途中から追い込まれる
それは高円寺に向かう途中の電車のなかで起きました。
ノートパソコンの充電器を入れるちょうどいい袋がなかったので、そこにあったジップロックにいれてリュックにイン。そしてそのうえにレッドブルをいれた状態でリュックを背負っていました。
地下鉄で席を確保し、財布を取りだそうとリュックを開けた瞬間に甘い香り。
まさかと思ってレッドブルを取り出すと、フタは空いていないのに濡れています。もう嫌な予感しかしません。
ジップロックを取り出してみると、レッドブルのイエローの液体がたっぷり。充電器は浸水し、甘い香りがします。
そういえば今年、後厄だったっけ。しかも今年、おみくじで3回連続で凶を引いた気がする。
かなり複雑な気分ですが、会社の携帯やパソコン2台など、ほかのガジェットは無傷でした。
甘い香りの漂う充電器を拭こうとした瞬間、目の前にオシャレなお姉さんが現れて「これ、どうぞ」と未使用のポケットティッシュが。
これをいただいてしまったらお姉さんのティッシュがなくなるじゃん…という気持ちと、あまりのうれしさにオドオドしてしまいましたが、せっかくなのでお気持ちとティッシュをいただきました。目の前に天使が現れたって、きっとこのことです。
お礼に渡せるものがなにもなくて降りるタイミングでお礼を言うことしかできなかったけど、来年はお姉さんのようなオシャレでスマートな人になることが目標になりました。
追い込まれに向かう道のりで、厄おとしと来年の目標が定まってしまいました。来年はきっといい一年になるはずです。
それにしても、ジップロックに入っているイエローの液体。レッドブルは悪くないし、ただのわたしの不注意なのだけれど、尿検査に失敗したときのようなビジュアルでいろいろ勘違いされそうでヒヤヒヤしたのはここだけの話です。
到着予定時間を大幅に過ぎながら高円寺駅に到着。そこから徒歩約5分のところにカフェがあります。
扉の向こうには同志たちがちらほら。わたしもすぐにそっちに行くからね!
高円寺駅から徒歩約5分の「原稿執筆カフェ」
お店でまず質問票に記入して、予約の席に着席します。
高架下が近いので車や電車の音(おと)が聞こえてきますが、カフェのなかはすごく静かです。
おなかがグーとでも言おうものならとどろきそうなくらいの静けさ。BGMは、カタカタというキーボード音。席にはコンセント、仕切り、Wi-Fi(ワイファイ)、PCスタンド、コーヒーやお茶はセルフサービスでした。
そして特筆すべきは定期的に店員さんが「進捗いかがでしょう?」と刈り取りにきてくれるサービス。
「終わった?」と圧をかけられるのかと思っていましたが、この日はお菓子をもってそっと様子を伺いにきてくれました。学校のようにチャイムも鳴って、時間管理もばっちりです。
追い込まれムード漂うグッズを持参しましたが、すでになくても十分追い込まれています。
今日の目標は「3.5時間で原稿2本を書くこと」。
そう、この原稿こそ、その1本です。静かな環境で執筆に集中できることと、「なにがなんでも終わらせる」という執念を持つひとたちが集まっているからか、今のところものすごくいいペースで進んでいます。果たして私は目標達成できるのでしょうか。
最後のパラグラフは、今日の最後に書くことにして、いったん次の原稿に行こうと思います。
結果はいかに
いまこのパラグラフを書いているのが締め切りの約30分前。どうにか達成できそうなめどは立ちました。
ずっとパソコンとにらめっこしていると煮詰まるので、途中で目の前の横断歩道を渡ってすぐのところにあるコンビニで、気分転換にサクッとごはんを食べました。こんな一時逃避をしやすいのもいいところ。
ちょうどパソコンの電源も限界に近づいてきたところで、トイレに行って仕上げを書こうと席を立つと…。
出たくなくなるトイレ
トイレのドアの向こうから、なんだか声が聞こえます。どうやらラジオがかかっているようです。
念のためドアをノックしても人はいないようなので、扉を開けると、壁一面に見覚えのある昔の携帯電話やウォークマン、iPhoneやiPodなどがずらり。
どれも今では絶滅したと思われる歴代のガジェットたちです。博物館のようなトイレに胸が高まります。となりに広がる世界とまるで別世界。
便座に座っているあいだもずっと周りを見渡していました。長居したくなるトイレです。
あまりの素晴らしいトイレに思いがけずボリュームが増えてしまいましたが、ここはぜひ訪れてみてほしい観光名所です。トイレだけど。
最後にお会計を済ませて、終了です。30分240円なので、4時間で1920円でした。
いつもよりハイペースで原稿が書けたので、かなり効率よく作業できました。
毎日やっているわけではないのが残念ですが、追い込まれたい人はぜひ一度どうぞ。なお、会計はキャッシュレスなのでお気をつけください。
「原稿執筆カフェ」公式ページURLは以下から
https://koenji-sankakuchitai.blog.jp/ManuscriptWritingCafe/
営業情報は以下「原稿執筆カフェ」のX(旧Twitter)以下から
x.com/mwc_tokyo?s=11&t=8L_sy-7mo33hemGex8YpxQ
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