日本人の脳卒中患者、低体重だと経過がよくないが、過体重だと経過はよい日本人の脳卒中患者、低体重だと経過がよくないが、過体重だと経過はよい
日本人の脳卒中患者は、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数であるBMIが18.5以下の低体重だと経過がよくないが、BMIが23から25の過体重だと経過がよいことが明らかになりました。
国立循環器病研究センターの研究グループがこのほどBMIが脳卒中後の経過に与える影響について検証したことで、わかりました。
日本独自の検証
肥満度の高い人はそうでない人に比べて、生活習慣病などの発症リスクが高いとされています。
その一方で、心筋梗塞や狭心症などの発症後の機能回復はむしろ良好であることが報告されています。
脳卒中でも肥満は発症リスク因子になりますが、脳卒中発症後の経過に関する研究結果は一貫していませんでした。
欧米で行われた研究では脳梗塞の場合、BMIが18.5未満の低体重の人は経過が良くないとの報告があります。
日本は欧米に比べて肥満度の高い人が少ないため、独自の検証が必要でした。
そこで、研究グループはBMIが脳卒中後の経過におよぼす影響を検証したとしています。
高齢者のBMIは25が目標に
2006年から2022年まで日本脳卒中データバンクに登録されている急性期脳卒中5万6230例のうち、入院時のBMIが入力された症例を対象としました。
BMIはWHO(世界保健機構)が推奨するアジア人における定義に基づき、18.5未満を低体重、18.5から23.0未満を正常体重、23.0から25.0未満を過体重、25.0から30.0未満を1度肥満、30以上を2度肥満と分類しました。
脳卒中は「脳梗塞」、「脳出血」、「くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)」に分類しました。
解析した結果、BMIが18.5未満の低体重は、脳梗塞や脳出血における経過がよくないリスクは約1.4倍から2.3倍に高まるとしています。
アテローム血栓性脳梗塞では低体重と肥満はいずれも、経過が良くないリスクを高めたとしています。
また、低体重はとくに重症の脳梗塞などにおける経過がよくないといいます。
一方で、BMIが23.0から25.0の過体重や80歳以上の高齢者におけるBMIが25.0から30.0のグループは、脳梗塞後の経過が良くないリスクは9%から17%も低いとしています。
研究グループは今回の研究結果について、「高齢者の体重管理の目標としてBMI25.0を基準にすることが適切かもしれません」としています。
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