「少し高い血圧」でも脳・心血管疾患のリスクは「正常な血圧」の約2倍に上昇「少し高い血圧」でも脳・しんけっかん疾患のリスクは「正常な血圧」の約2倍に上昇
「少し高い血圧」でも脳・心血管(しんけっかん)疾患のリスクは「正常な血圧」と比べて約2倍に上昇する。
横浜市立大学らの研究グループがこのほど実施した調査でこんな結果が分かりました。
同研究グループは、関東・東海地方にある複数の企業が集まって実施した共同研究の参加者で、高血圧の治療をしていない労働者8万1876人を対象に調査しました。
最大9年間の追跡調査をしたところ、「少し高い血圧」の段階から同疾患の発症リスクが高まることを確認したといいます。
さらに、同疾患を発症した人数は、「少し高い血圧」から「かるめの高血圧」までの労働者に多いことがデータから裏付けされたとしています。
少し高い血圧の段階から血圧管理を
今回の調査では血圧の分類を「正常血圧」、「正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)」、「高値血圧(こうちけつあつ)」、「Ⅰ度高血圧(いちどこうけつあつ)」、「Ⅱ度高血圧(にどこうけつあつ)」、「Ⅲ度高血圧(さんどこうけつあつ)」の6つに分けました。
研究の対象者である約8万人を調査すると、期間中に334人が同疾患を発症したことが明らかになりました。
また、血圧が高くなると、同疾患の発症リスクは上昇することもわかりました。
「正常血圧」を基準に、関連の強さを表す統計学の指標となる調整ハザード比は少し高い血圧にあたる「正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)」で1.98となりました。
この結果は、「正常血圧」と比べて、「正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)」の同疾患の発症リスクは1.98倍だったことを意味します。
さらに、調整ハザード比をみると、「正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)」に次いで高い「高値血圧(こうちけつあつ)」が2.10、「Ⅰ度高血圧(いちどこうけつあつ)」が3.48、「Ⅱ度高血圧(にどこうけつあつ)」が4.12、「Ⅲ度高血圧(さんどこうけつあつ)」が7.81と、血圧が高くなるほど同疾患の発症リスクも上昇する結果となりました。
今回の結果により、「正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)」の段階から同疾患の発症リスクに対する取り組みが必要であることが明らかとなりました。
同研究グループは今後の展開について、「就労世代においては『正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)』の段階から血圧管理に取り組むことが重要です。企業や医師はそうした従業員の取り組みを後押ししていくことが期待される」としています。
本文ここまで