「腰が痛い」ってどういうこと?専門家が教える、自分でできる腰痛対策「腰が痛い」ってどういうこと?専門家が教える、自分でできる腰痛対策
「腰が痛い」という言葉をよく耳にします。これを読んでくださっている人のなかにも、今まさに腰痛の人がいるかもしれません。そもそも、腰が痛くなるってどういうことなのでしょうか。
今回は、ご自身も中途の視覚障害をお持ちで、アスリートのメディカルトレーナーや専属セラピスト、BFR(加圧)トレーナーを務めるマッサージ師のしらとり たまきさんに、腰痛の対処法についてお話をうかがいました。
デスクワークと腰痛の関係
たとえばデスクワークなど“座りっぱなし”の状態が続く人の場合、腰の近くにあるちょうようきんはけつりゅうが悪くなり、緊張したままの状態になっています。動いていないつもりでも、腰へはストレスをかけたままの状態になっています。この疲労が蓄積され、腰痛へとつながります。
そもそも“腰痛”とは
腰痛とは腰の筋肉の痛みをさしますが、腰の筋肉は、からだのさまざまな部位にまたがっています。腰痛の患者さんを担当するとき、わたしたちがまず見るのは骨盤です。骨盤をみて、原因がどこにあるのかを探っていきます。腰痛が出るパターンは人によって異なるため自己判断だけでは危険ですが、ヘルニアなどの“腰の持病がある場合”と“ない場合”で対応は異なります。
自分の腰痛パターンを知ることが、腰痛対策のファーストステップ
テレビや雑誌などで「腰痛」の特集や「腰痛の解消方法」が紹介されているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。また、「紹介された通りにやってみたけれど、改善しなかった」という人も、もしかしたらいるかもしれません。テレビや雑誌などで紹介されている解消法は、かずある腰痛パターンのなかの解決策のひとつなので、思ったほどの効果を得られない場合もあります。
さきほどもお伝えしたように腰痛のパターンは人によってさまざまなため、自分のパターンを知ることが大切です。
このあと腰痛パターン別のストレッチやトレーニングを紹介しますが、痛みがある場合は痛みが治まることを最優先し、治まってからおこなうようにしてください。
腰の持病がない場合の腰痛はまず、“重心線”を見る
これから紹介する腰痛対策は、ヘルニアなどの“腰の持病がある場合”と“ない場合”で異なりますが、今回は“腰の持病がない場合”にしぼって説明します。
この場合、自分が立ったときの姿勢で腰痛の原因を見分けられます。全身が映る鏡を用意し、その前に力を抜いてまっすぐ立ちます。姿勢をよくしたときの重心線をみることで、ご自身でもおおよその原因と対処法の目安がつけられます。なお、重心線とは、耳たぶ、肩の側面、股関節、膝の真横、外くるぶしの5か所を一本の線でつなげた線のことです。
腰痛は骨盤が前に傾いているか、うしろに傾いているかで、ストレッチやトレーニングの方法が変わってきます。骨盤が前に傾いている場合が、いわゆる「そり腰」です。
“そり腰”の場合のストレッチとトレーニング
骨盤が前に傾いている場合は「そり腰」の可能性が高いです。臨床ではどちらかというと女性に多いですが、アスリートの場合は男性に多いタイプです。
そり腰の場合はちょうようきんが過緊張になってしまうため、適切な処置をおこなわないとそり腰が進んでいってしまう可能性があります。対応策としては、ちょうようきんの緊張をとることがポイントになります。
ストレッチ
ヨガマットやベッドの上など、やわらかい場所の上にあおむけになります。両足を両方の腕で抱えこみ、ふともものまえがわを胸に引き寄せ、おしりを浮かせます。この状態で10秒から15秒キープすることを3セットおこなうとおしり、腰、背中のストレッチになります。
可能であれば、おなかに力をいれて息をゆっくりはきながらおこなうとさらに効果的です。お風呂あがりにおこなうと睡眠の質がよくなることも期待できそうです。
さらにできる人は、両足を両方の腕で抱えこみ、ふともものまえがわを胸につけてみてください。
フィットネスジムなどにいかれている場合は、腹筋台をつかい、背中を乗せる台に伸ばしたいほうの膝をあて、他方の脚は一歩前に出して伸ばし、腹筋台の足をひっかける部分のパッドを両方の腕でだきかかえるように、上体を前に移動することで股関節を伸展します。
また、自宅の場合は伸ばしたいほうの片膝を立て、もう片方の膝を床につけて伸ばすだけでもちょうようきんの緊張が緩和できるのでおすすめです。
トレーニング
“そり腰”は腹筋の力の低下によって起きている可能性があるので、トレーニングは腹筋やはいきんを鍛えるのが理想的です。ときどき、どちらか一方のみを鍛える人がいるのですが、片方だけ鍛えると別の腰痛を引き起こすことがあるため、両方を鍛えることをおすすめします。
まず、ヨガマットやベッドの上など、やわらかい場所の上にあおむけになります。両手を下腹部に置いて、両足のつま先を揃えてゆっくり上下するだけ。シンプルですが、これがけっこうキツイんです。これを1回につき3から5セットおこないましょう。足を上げるときよりも下げるとき、時間をかけてゆっくり下ろすのがポイントです。
そり腰でない場合のストレッチとトレーニング
そり腰でない腰痛の場合は、骨盤がうしろに傾いていることが多いです。臨床ではどちらかというと男性に多いタイプです。この場合はおしりの座骨である、もものうしろがわにあるだいたいにとうきん(ハムストリング)を伸ばすことをおすすめします。
スポーツをする人はこの部位の認知度は高いと思います。なぜなら、ハムストリングは肉離れのメッカと呼ばれている部位でもあるからです。
ストレッチ
この場合のストレッチは、片足をイスの上にのせ、軽く膝を曲げて、たいかんを膝にゆっくり寄せて、離すことを繰り返しましょう。ケースバイケースですが、5セット以上おこなうのがおすすめです。お風呂あがりのほうが伸びがよくなります。また、これに呼吸を合わせるとさらに効果的です。
ストレッチをもうひとつ。だいでんきんと呼ばれるお尻の筋肉と、腕から骨盤の上あたりの筋肉であるきりつきんとこうはいきんが弱いので、この部分を鍛えることをおすすめします。わかりやすく説明すると、弓を引くときの筋肉です。
やることはとてもシンプルで、まっすぐ立って両手をおへそのあたりで組み、おなかのあたりから、うしろにそります。これを3回以上、ゆっくり呼吸をしながらおこないましょう。より伸ばしたい場合は、両手をおへそではなく、頭上で組むとさらに効果的です。
トレーニング
ヨガマットやベッドの上など、やわらかい場所の上で両方の腕を前方に伸ばし、さらに、両足を伸ばした状態でうつぶせになり、右の腕と左足、左の腕と右足の組み合わせで交互にうえにあげます。はじめのうちは腕だけ、足だけでもOKです。
ポイントはおしりの筋肉を使って足をあげること、腕はけんこうこつからあげるイメージです。右の腕と左足、左の腕と右足を1セットとして5セット程度、1セットの間隔を30秒程度あけておこなうと効果的です。
ここで紹介したストレッチやトレーニングの回数は30代後半から50代を想定した目安となります。年代によって回数や強度は変わります。体形などによっても異なるため、細かい強度については、専門家にご相談ください。
監修:しらとりたまき
セラピスト、マッサージ師、指圧師、BFR(加圧)トレーナーのほか、アスリートのメディカルトレーナーや専属セラピストも務める。2021年から自身も中途視覚障害となる。
2014年から13人制オージーラグビーのメディカルトレーナー、2017年から西武園競輪場、京王閣競輪場、立川競輪場専属セラピスト、2019年ラグビーワールドカップ・オールブラックスの専属セラピスト、アルゼンチン代表の臨時セラピストなどを務めた経歴を持つ。現在はフリーで施術をおこなっている。
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