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頭髪表層の“うねり”ってどうして発生するの?

女性の後頭部の写真。左側は頭髪の表層にうねりが発生している状態で、右側は毛の流れがそろっている状態です

気づかないうちに頭髪に“うねり”ができていることはありませんか。そんな頭髪の表層に発生したうねりの要因とメカニズムについて日用品大手、花王の解析科学研究所・ヘアケア研究所がこのほど突き止めました。

毛の流れを乱して、髪の印象を損なう原因となるうねりの発生に紫外線が深くかかわっていると結論づけています。さらに発生メカニズムを調べると、紫外線の影響で毛髪内部の結合が切断され、切断された一部がひずんだ状態で再結合するという、美容室で施術されるパーマの仕組みに似た現象が起きていることも発見しました。

同社では今後の展開について、「うねり発生の一因である紫外線から髪を守ることは、皮膚と同様に重要なことです。今回の研究で得た知見は、毛髪に簡便に塗布できる紫外線対策製品の開発などに活かしていきたい」と意欲を燃やしています。

 

“紫外線”と“ひずみ”が影響

毛髪一本一本の形状の不規則なうねりは、日々のヘアケアでは抜本的な解決は困難とされていました。生まれつきの“くせ”やヘアカラー、熱などによるダメージの蓄積が原因と考えられてきました。

花王はあらためて頭髪の実態を調査し、髪をめくりあげたうちがわではうねりが少ない一方で、頭髪表層では顕著にうねりが多く、これが髪の印象に大きな影響を与えていることがわかりました。

日常生活ではにっちゅうに外出すると太陽光にさらされています。また、就寝時には枕との接触で毛髪がひずんだ状態のまま時間が経過するなど、複数の要因の影響が頭髪表層に集中すると考えられています。

研究では夏の紫外線強度と同等に調整した人工太陽光を、実験用毛髪によじかん照射した後、就寝時を想定して毛髪に一定の力をくわえてひずませた状態で所定の時間せいちしました。その後、洗髪し、セットがかからないように自然な状態でかわかしてうねりの程度を評価しました。

この結果、太陽光照射のみでは毛髪形状に有意な変化はみられませんでした。しかし、照射後、毛髪をひずんだ状態で保持すると顕著にうねりが発生し、保持時間が長いほどうねりが強くなることがわかりました。

一方、太陽光から紫外線を遮断するとうねりの発生が抑制されたため、紫外線とひずみがうねり発生の大きな要因であると結論づけています。

 

パーマに似たメカニズム

毛髪を構成するタンパク質には、タンパク質をはしごのようにつなぐジスルフィド結合がたくさん存在しています。紫外線の影響でジスルフィド結合が切断されることは知られていますが、うねりの発生との因果関係はこれまでわかりませんでした。そこで今回の研究では、うねりが発生する過程におけるジスルフィド結合量の変化を、「ラマン分光法」と呼ばれる測定手法を用いてけいじてきに分析しました。

その結果、たいようこうしょうしゃじは紫外線の影響でジスルフィド結合が切断されて減少し、その後、急激に増加する過程と、緩やかに増加する過程があることを発見しました。これは切断されたジスルフィド結合の一部が、時間の経過とともに再結合していることを示す新しい知見となります。

さらに、ジスルフィド再結合とうねりの発生の時間を比較すると、うねりが徐々に強くなる時間と、緩やかに再結合が進行する時間が合致しています。この緩やかな再結合は、たんぱくしつかんのジスルフィド再結合に対応すると考えられ、うねりの発生と連動していることがわかりました。毛髪が紫外線にさらされた後にひずんだ状態におかれると、切断されたジスルフィド結合がひずんだ状態で再結合し、うねりの発生につながったと同社では分析しています。

これはパーマと類似したメカニズムで、頭髪のうちがわよりも表層では紫外線やひずみの影響が大きく、意図せず不規則な形状に発生したうねりが固定された状態になっていると推察しています。

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