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社会的な孤独が動脈硬化を促進

一人で食事をする高齢女性

 

慶應義塾大学医学部と自治医科大学らの研究グループはこのほど社会的孤独が動脈硬化を促進させる新たな分子のメカニズムを発見しました。

脳視床下部で産出されるオキシトシンが減少し、肝臓における脂質代謝制御機構が破綻することが原因であることを突き止めたとしています。

 

ストレスの影響を検証

 

社会的な孤独はこれまでヒトにおいて、脂質代謝異常や動脈硬化を原因とする虚血性心血管疾患(きょけつせいしんけっかんしっかん)のリスクであることが報告されていました。

しかし、その詳細なメカニズムは明らかになっていませんでした。

今回の研究では社会性のあるマウスでも特に"絆"が深いとされる「同胞マウス」のみで実験をおこない、社会的孤独ストレスの影響を検証しました。

1つのケージに4匹から5匹飼育する対照群と、孤飼にする孤独群に分けて検証したところ、これまで推定されていた食事摂取量、交感神経系、視床下部/下垂体/副腎皮質系、炎症の活性化と無関係に、社会的孤独ストレスが動脈硬化を進行させることを見出したとしています。

また、オキシトシンを経口補充すると、社会的孤独による脂質代謝異常と動脈硬化が抑制されることを確認したといいます。

 

重要な鍵分子

 

オキシトシンは"幸福ホルモン"として社交性や感情の制御、乳汁分泌、子宮収縮などに関与していることが知られています。

しかし、今回の研究によってオキシトシンの新たな機能だけでなく、オキシトシンが脳と肝臓を結ぶ重要な鍵分子であることもわかったとしています。

研究グループは今回の研究について、「オキシトシンが社会的な孤独による動脈硬化の促進に対する新たな治療標的として期待されるだけでなく、社会的なつながりや“絆”が動脈硬化の原因となる脂質異常症の予防に重要であることが改めて強く示唆されている」と指摘しています。

 

 

本文ここまで

 

 

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