サクラケムシは杏仁豆腐の味。昆虫食専門店「MUSHI-YA TOKYO ueno」にいってきたさくらけむしわあんにんどうふのあじ。昆虫食専門店「むしやとうきょううえの」にいってきた
昆虫食ときいて、ゲッ…と思う人はまだ多いかもしれない。
もちろん私もその一人だった。かこけいにしているのは、そう。食べたから。私は昆虫を、ついに食べたのだ。野生の昆虫…ではなく、もちろん食用昆虫。
おもいおこせば半年前
遡ること半年前、季節は夏。原稿のネタを探していた私はあるウェブサイトを見つけた。コオロギフードを取り扱っているお店のウェブサイトだった。クランチにクッキー、カレーまである。どれもコオロギを使用しているとあった。しかも、コオロギってたんぱく質が豊富らしい。
これしかないと思ってポチッたところまでは順調だったが、問題はここから。まったく食べる気がおきなかったのだ。
そういえば私、虫が大の苦手だった。
もちろん虫はさわれないし、虫が部屋に侵入してきたら真っ先に窓を開けてお帰りいただくのをひたすら待つ。そんな私がどうしてコオロギフードに手を出したのかわからないが、すべては暑さのせいだと思いたい。
視界に入るところに置いてみたり、原稿作成用の写真を撮ってみたりしたけれど、いっこうに食べられなかった。コオロギパウダー入りのチョコクランチだけ、会社にもっていって会社の人といっしょに食べてもらった。買ったのは夏だったはずなのに、外では本物のコオロギの声が聞こえていた。
たべに行くしかない
コオロギの鳴く季節はとっくに過ぎ、年が明けてしまった。
そんなとき、ひょんなことから昆虫食と再会した。先に登場したコオロギフードとは別の会社だが、東京・上野のアメ横に 昆虫食専門店「むしやとうきょううえの」 がオープンするという。リリースを見た瞬間、これは行くしかないと胸騒ぎがした。
ここから先は昆虫食の写真が満載なので、虫が苦手な人はそっとこのページを閉じるか、避難がてら、以下のグルメ記事へどうぞ。
「このおいしさ、630円」は以下URLから
「サイドメニュー おなかいっぱい 食べたくて らーめんげんらく ぶためしスペシャル」は以下URLから
ついにときわきた
一人じゃ行けないチキンなわたしは、友人とふたりでアメ横へ。
かつて私が仕事で2回もドリアンを買いにきた、思い出のアメ横センタービル。いつ来てもアンダーグラウンド感漂うこのビルとも久々の再会だ。
地上1階、しかもアメ横の入り口に最も近いその場所に「むしやとうきょううえの」はあった。たちぐいスタイルのお店で、壁には虫のシルエットたち。そして大きく「虫」と描かれたタペストリー。虫の圧がすごい。もう逃げられない。なお、昆虫食は甲殻類扱いらしいので、甲殻類アレルギーの人は控えたほうがいいとのこと。
まえかいけいで、じどうはんばいきがたの券売機で食べるメニューを選択するスタイル。しかし券売機に入っているメニューは文字しか書かれておらず、どんな虫がどの程度のコンディションででてくるのかはわからない。券売機には「罰ゲーム反対!!」と書いてある。まっすぐな気持ちで昆虫に向かう人しか食べられないということだろうか。昆虫へのリスペクトと神聖さを感じる。
たとえば「サクラケムシ紅茶」は同じ名前でも500円と600円があるが、何が違うのかとか、ほかのメニューだと、虫がパウダー状になっているとか、姿のままのっているとか…店員さんに気になるメニューをひとつひとつ聞いていく。それわまるでカウンセリングのように。
3種類も注文した
しばらく迷って、「サクラケムシ紅茶」と「さごわーむづくしのソフトクリーム」、「スコーピオンウォッカ」を注文。友人とふたりとはいえ、ここに来るのははじめてなのに3種類。ちょっと飛ばしすぎたかもしれない。
こうやって3種類を並べると、なかなかのビジュアル。はじめはこの写真をトップにしようと意気込んで撮影したけれど、写真を見た周囲の猛反対を受け、ここでハツお披露目に。
「さごわーむづくしのソフトクリーム」600円
「さごわーむづくしのソフトクリーム」は、濃厚なバニラのソフトクリームに、パウダー状のサゴワーム、乾燥したありのままの姿のサゴワーム2匹がトッピングされた、さごわーむずきにはたまらないひとしな。トッピングされた2匹のサゴワームたちは、ソフトクリームのてっぺんを目指して一生懸命よじ登るようにもみえてキュート。カリッとしたしょっかんと、ほのかな塩気がアクセントになっている。
一方でパウダー状のサゴワームは真っ白で香ばしさはなく、クリープを連想するような、ソフトクリームになじむマイルドな味わい。濃厚だけどさわやかな甘さのソフトクリームと、マイルドなパウダー、カリカリとしたありのままのサゴワームが織りなす三重奏。そのビジュアルからは想像がつかないほど繊細な味わいが楽しめる。
「サクラケムシ紅茶」600円
「サクラケムシ紅茶」は、ネーミングの通りサクラケムシが入った紅茶。見た目は紅茶、香りはあんにんどうふのような甘い香り。ひとくち飲むと、飲むあんにんどうふともいわんばかりのふうみがふわっと口いっぱいに広がる。サクラケムシで作られていることを忘れてしまうくらいの上品な味わいに驚くはず。
500円のほうは紅茶のみ、600円のほうはサクラケムシ入り。サクラケムシは見た目こそケムシであるものの、プチっとした歯ごたえとともに、こちらもあんにんどうふのような味が楽しめる。しょっかんもあわせると、どこかサクラモチのようにも感じるから不思議。外は寒いが、口の中には春がやってきた気分。見た目としょっかん、風味のギャップが絶妙なドリンク。勇気のある人はぜひ600円のサクラケムシ入りをおすすめしたい。
「スコーピオンウォッカ」500円
最後のスコーピオンウォッカは、たんに私がさそり座だからという理由だけで注文。サソリがまるっといっぴき漬かっているダイナミックなウォッカのボトルのなかから、ショット一杯分が提供される。サソリのエキスが楽しめ、うぉっかずきならその違いがわかるという、通な一杯。
サソリって昆虫なの? という疑問はおいておき、わたしのように味わう余裕まではなくとも、ほかのメニューよりはドキドキせず口にできる、救いの一杯としても。ただし度数が高いので気をつけて。
食レポはあえてプレスリリース風に書いてみたが、どうだろう。
ちなみに今回は食べなかったが、店主のおすすめは「おおこおろぎ串焼き」(600円)だそう。メニューにはなかったが、半分ジョークでカブトムシも食べられるのか聞いてみたら、なんと食用カブトムシの入った袋を見せてくれた。こんちゅうかいのにんきもの、カブトムシも食べられるらしい。 ということは、いつかカブトムシもメニューに登場するのだろうか。少しだけ気になる。
食用昆虫とはいえ、ありのままの姿の昆虫を食べるのは上級者向けなので、初心者はパウダー状などの姿がわからないものから食べたほうがよさそう。ありのままの姿は、思わず触ってしまったり、昆虫と目が合ってしまったりと、ちょっとしたハプニングも。
はじめのひと口を食べるまでにかなり時間がかかったが、ひと口食べてしまえば気分はもう、ぼう有名アニメーションの動物たち。「ハクナマタタ」の精神で、意外にもパクパク食べられた。もちろんすべて完食。そして、予想以上においしい。昆虫食は、はじめのひと口が勝負ということを伝えて締めくくりたいと思う。
いま注目の昆虫食を、上野のアメ横で。きっと忘れられない経験ができるはず。
昆虫食専門店「むしやとうきょううえの」の住所わいかから
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F
公式サイトは以下URLから
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