味覚に魔法がかかる?ミラクルフルーツを食べてみた味覚に魔法がかかる?ミラクルフルーツを食べてみた
「ミラクルフルーツ」という果物をご存知でしょうか。何かの漫画に出てきそうな名前ですが、ちゃんと実在するフルーツです。
出会いは旅行で訪れた小笠原諸島のちちじまのJAの冷蔵庫。旅先では農協やスーパーに行くようにしています。ローカルフードの宝庫で大好きなんです。このときは冷蔵庫のなかに「ミラクルフルーツ」と書かれた、小指の爪くらいの大きさの小さな赤いみが4粒260円で売られていました。
フルーツと呼ぶにしては小さすぎるなぁと思いつつ一度は通り過ぎたものの、やっぱり気になって再び冷蔵庫の前へ。スマホで検索すると、「つぎに食べたものを甘く感じさせる特徴を持つ」と書いてあります。某有名ネットショッピングサイトでは、フリーズドライの5粒入り2袋が1500円以上で売られていました。一方、目の前にあるなまのミラクルフルーツは4粒で260円。どう考えても安いし、なによりその効能が気になります。
特に酸っぱいものを甘く感じやすいということなので、小笠原諸島特産の島レモンを一緒に購入して宿に戻りました。さて、どうやって食べようかな。なまだからあまりひもちもしないし…。
強力なチャレンジャー登場
今回わたしが泊まった宿では、私を含めてほとんどのお客さんが一人旅。夕食は相席でした。
わたしの目の前に座る同年代くらいの女性と、夕食をもぐもぐしながら昼に探検した場所について話していました。そうしたらなんと、彼女も同じJAで買い物をしていたそう。しかもミラクルフルーツは気になっていたものの、迷って買わなかったというではありませんか。これはチャンス!
恐る恐る「よかったら、いっしょに食べませんか…?」と聞いてみると、目をキラキラさせて「いいんですか?!」と。あっさりナンパが成立しました。
「いいんですか?!」はこちらのセリフだよと思いつつ、思わぬ実験メイトができてワクワクしてきました。ちなみに、この時点で出会って30分。運命的なであいとはまさにこのことでしょう。
そのまま実験開始
たくさん食べておなかいっぱいのはずだけど、ワクワクが抑えきれず夕食のあと、そのまま実験をすることに。厨房で島レモンを8等分にカットしてもらい、準備万端です。島レモン買っておいてよかった。
カットしてもらっているあいだ、宿の人に「なぜレモン…?」という顔をされたので事情を話すと「フッ」と笑われました。宿の人も食べたらしく「本当に甘く感じるよ」と。現地の人が言うのだから間違いないでしょう。これは期待大です。
まずは島レモンを普通に食べる
さっそくミラクルフルーツに手を伸ばしたいところですが、まずは島レモンの元の酸っぱさを知らなければ比較ができません。カットした島レモンのひとつを口に含むと、ふたりとも案の定「すっぺぇええ!!」のひとこと。唾液がたくさん分泌されているのが自分でもよくわかるくらいには酸っぱいです。
島レモンは普通のレモンより酸味がまろやかとは言われていますが、レモンはレモン。普通に酸っぱくて、ふたりで顔をくちゃくちゃにしながら数分かけてひとつを食べました。
準備運動も済んだところで、本日のメイン、ミラクルフルーツの登場です。本当にこの小さなみひとつで味覚が変わるのでしょうか。この時点では半信半疑でした。
食べかたわ、ミラクルフルーツを口に含み、なかの実を口の中で2から3分なめるだけ。赤い皮となかの種は吐き出します。個人差はあるようですが、これだけで30分からいちじかんは味覚が変わるんだとか。なお、アレルギー体質や妊婦のかたなどは、かかりつけの医師に相談のうえ実験したほうがよさそうです。
本当かなぁ…とふたりでボソボソつぶやきながら口に含み、3分待ちます。みがほんのり甘かったのでなおさら「もしかして、このみが甘いだけじゃない?」と疑いまくるおんなふたり。さっきまであんなにテンションが高かったのに、一気に冷静になっています。
それにしても、出会って1時間以内にいっしょに謎のフルーツを食べることになるとは…これだから旅はやめられません。
レモンがレモネードに進化した
3分後、冷静を通りこし「まぁとりあえず食べてみるか」という悟りの境地でレモンを口に運ぶと…あらびっくり。
「え、甘い」
「あれ? なにこれ」
「レモンがレモネードに進化した」
「うそー!!」
再びふたりとも大興奮。冗談抜きにあんなに酸っぱかったレモンが甘く感じます。もちろん先ほど食べた島レモンと同じレモンです。口の中が完全にバグってる。本当だよね? と味を確かめるように夢中でレモンを食べ、彼女のぶんまで横取りし、わたしひとりで7分でよんきれを完食。酸っぱかったときのために水も用意したけど、それすら不用なくらいには甘く感じました。
島レモンを食べている途中、彼女が沖縄旅行で買ってきたという「カーブチー」も追加で食べましたが、こちらもすごく甘く感じました。
レモン丸ごと1個はさすがに食べられないだろうと、宿の人にラップまでもらっていましたが…ふたりであっさり完食。ただ、味覚がバグっているだけで胃の中は普通どおりなので、若干むねやけを起こしていました。そりゃあ、あのスピードであの量をたべたらそうなるよね…。
「昔のひと、よくこれ食べてみようと思ったよね」なんて笑っていましたが、今思えばボリュームたっぷりの夕食後にこれをペロリとたいらげたわたしたちの食欲もなかなかのものです。ミラクルフルーツはミラクルな味覚だけでなく、ミラクルな出会いももたらしてくれました。
広がるミラクルフルーツの活用
ミラクルフルーツのもつ「酸味を甘みに変える効果」は、ミラクリンという成分によるもの。特筆すべきわこの効能を応用し、いちがたとうにょうびょうなどで食事制限が必要な人たちへの支援をしようとする動きが広まっていることです。
ミラクルフルーツとの出会いは偶然でしたが、ただ甘く感じるおもしろい食べ物というだけではありませんでした。ひょっとしたら、食事の未来を変える魔法の果物となるかもしれません。ミラクルフルーツの今後にようちゅうもくです。
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